作品に出演して視野が広がっていく
――出演作はご自身で選んでいるのですか?
「そういう場合もありますが、作品がご縁を結んでくださって、次の道を決めてくれるといったことがあります」
――社会問題を背景にしたり、メッセージ性のある作品に参加することによって、ご自身の視野が広がることにも繋がりますか?
「それはあります。やはり本や資料、歴史背景、人物などを調べていきますから。それが以前に調べた作品と繋がることもあります。作品を通じて自分自身の知見が広がっていくのは、俳優というお仕事をやっていて面白いことのひとつです」
――『葛城事件』出演より以前になりますが、メッセージ性のある作品としてはこうの史代さんのコミックを映画化した、広島への原爆投下をテーマに据えた『夕凪の街 桜の国』(2007)の主演も務めました。
「あのときは、出演のお話が決まってから、新幹線でひとり広島に向かいました。ホテルに泊まって、原作を読みながら街を歩いたり、原爆ドームに行ったり。それまで自分が向き合ってこなかったことを、作品に触れることによって知っていけるのは、財産だと思います」
――反響という意味では、最近の作品では、昨年放送されたNHK連続テレビ小説『ブギウギ』が記憶に新しいです。
「たしかにすごい反響でした。やっぱりテレビって、朝ドラってすごいなと。商店街の方にも“見たよ”と話しかけていただいたりしました。ほかにもお会いする方、お会いする方から、“すごかったね”、“これまでやったことのない役だね”と、いろんな感想をいただきました」
――その前年の『いちばんすきな花』での美鳥役も、物語の終盤に登場する超重要なキャラクターでした。あの登場の仕方は、なかなかのプレッシャーだったのではないかと。
「あおりにあおっての登場でしたからね(笑)。これで私が登場して“なんだよ”となったらどうしようと、すごく怖かったです」
