1983年に、『ものまね王座決定戦』の特別編というべき『発表!日本ものまね大賞』に登場するや、いきなり大賞を受賞し翌年にプロデビュー。またたく間にものまね界のスターへと駆け上がっていった栗田貫一。清水アキラ、グッチ裕三、モト冬樹、コロッケとの「ものまね四天王」が起こしたブームを超える波は、正直、あれ以来起きていない。いまでは不動の人気キャラクター・ルパン三世の声でも知られる栗田さん。ものまねタレントにして、声優、ナレーターの語る人生のTHE CHANGEとはーー。【第2回/全4回】

1995年からルパン三世の声を演じてきた栗田さん。今回、映画『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』と、前日譚となる配信作品『LUPIN THE IIIRD 銭形と2人のルパン』がほぼ同時期に放たれることになり、ファンが狂喜している。
――まず『銭形と2人のルパン』が配信になりますが、かなりハードボイルドなテイストですね。
「みなさん、ルパンというと、ポピュラーな、軽いルパン、楽しいルパンというイメージを持っている。それはそれでなくしちゃいけないと思うんですけど、小池ルパンは、全く違う別世界の作品だと僕は思っています」
※今回の配信および劇場作品の監督は小池健。2014年から『LUPIN THE IIIRD』シリーズを手掛けている。
「本作でルパンは銭形のことを“とっつあん”とは言わないし、不二子に“ちゃん”はつかない。山田(康雄)さんが、ルパン三世のキャラクターイメージを完成形まで作られてきた、僕たちが見ていたテンポのいい、センスのいい、お茶目なルパン三世は、あれはあれでやっぱり、それはずっと持っていなきゃいけない。そしてこの小池ルパンというのは、全く違うルパン三世たち。ルパン三世じゃなくて、『LUPIN THE IIIRD』なんだなと」
※山田康雄・・・1932年~1995年。俳優、声優、司会者として活躍し、特にルパン三世の初代声優として知られた。
――銭形警部もものすごく渋いです。
「(初代声優の)納谷悟朗さんは、かっこいいんだけど、カッコ悪いところもある、銭形さんというのを作り上げてこられた。宮崎(崎はたちさき)駿さんの『カリオストロの城』のときもそうだったけど、頼り甲斐がないんだけど、ちゃんとしているところもあって、結局はルパンのことが好き、というような人格形成みたいなものができていたと思うんです。今回は、それとはまた全く違う銭形を新たに描いている。僕はハードボイルドなアニメを見たという感じともまた違って、“リアルな人間を見た”気がする銭形だと思いました。山ちゃん(山寺宏一)の作り上げてきた、かっこいい銭形ができたなと思いましたよ」

――そして配信の主人公は、その銭形。映画『不死身の血族』の前に、まず銭形が主人公の物語が出ます。
「それが先じゃないとおかしいと、ずっと僕は思っていました。言っていいのか分からないけど、この銭形の話と、ルパンの映画がリンクしているので。この銭形の回を先にやらないでどうするのと」
――そうなんですね。
「そもそも今から12年位前に、最初に小池さんとやったとき、まず“次元をやります”と言われたんです。『次元大介の墓標』(2014)ですね。で“次があったら五エ門をやります”と(『血煙の石川五ェ門』2017)、“ルパンは?”と聞いたら、“最後にやります”と言われて」
※2019年には『峰不二子の嘘』が公開。この度6/20 (金)より『銭形と2人のルパン』が配信、ほか3作品が6/22 (日)にWOWOWで放送、6/27(金)よりPrime Videoで見放題配信となる。
「最初に“5軒の家を建てます”って小池さんが言ってくれたんです」
ついに、12年越しに5軒の家が完成する。
(つづく)
栗田貫一(くりた・かんいち)
1958年3月3日生まれ、東京都出身。ものまねタレント、俳優、声優、ナレーター。1983年に『発表!日本ものまね大賞』(フジテレビ)にてデビュー。同局での『ものまね王座決定戦』でともにその人気・実力を競い合った清水アキラ、グッチ裕三、モト冬樹、コロッケと「ものまね四天王」と呼ばれ、「ものまねブーム」をけん引。一世を風靡した。1995年より担当している、人気アニメシリーズ『ルパン三世』の主人公、ルパン三世の声優としても知られる。
●作品情報
『LUPIN THE IIIRD 銭形と2人のルパン』
原作:モンキー・パンチ
監督:小池健
脚本:高橋悠也
音楽:ジェイムス下地
クリエイティブ・アドバイザー:石井克人
アニメーション制作:テレコム・アニメーションフィルム
製作・著作:トムス・エンタテインメント
声の出演:栗田貫一、大塚明夫、浪川大輔、沢城みゆき、山寺宏一、堀内賢雄
公式サイト: https://www.lupin-3rd.net/zenigata-twolupins/