今回登場してくれたのは、歌手に女優にと、マルチに活躍するタレントの研ナオコさん。自身の仕事観から、堺正章さんや中島みゆきさんとの華麗なる芸能人脈まで、55周年を迎えた自身の芸能人生を振り返ってもらいました。【第1回/全2回】

研ナオコ 撮影/河村正和

ーー5月2日に公開され、主演を演じた映画『うぉっしゅ』では、認知症の祖母役。難しい役どころかと思いますが、舞台挨拶で「演技プランは考えていない」と話していて、驚きました。

「プランなんて考えてもわかんないしね」

ーー演技プランを考えないというのは、“無”の状態ですか?

 そうです。ふだんから無ですから(笑)。昔から、そうなんです。テレビ番組に出るとき、「絶対に、これを言おう」とは思わずに行くんです。

「何が来るか分からないから、そのときに来た質問に対して瞬間で答えていく。用意していって、他の質問が来たら“えっ!”となって全然、面白くないと思う。そういうバラエティ番組でのクセがついているんです」

ーーだから、自然体で。

「答えを用意していると、作られた感じがするから。今回もそれが嫌だったし、認知症の役だし、監督からも“とにかく頭をクリアにしておいてください”と言われましたしね」

ーー表情やしぐさが演技とは思えませんでした。舞台挨拶では「もらっちゃう?日本アカデミー賞主演女優賞」と話し、会場を盛り上げていましたね。

「言霊になりますからね。普通、女優さんは狙っていても言わないもんね」

ーー獲る未来が見えます。生死を意識する役どころだったと思いますが、研さん自身は終活について、考えたことはありますか?

「よく聞かれるんですが、1回も考えたことないです。まだまだ先にやりたいことがいっぱいあるので、そんなこと、考えていられないんですよ」

ーーやりたいこととは?

「まだお芝居がうまくなりたいし、歌もうまくなりたい。いろんなことがうまくなりたい。もっともっと、成長したいんですよ。まだまだ“研ナオコ”ってちっちゃいから、もっと大きな“研ナオコ”になりたい。
 日本だけじゃなく、世界の中に研ナオコがポンッと行くことを考えると、そういうところに行くには時間がかかるのでね。昔から、すべてに関して一回も満足したことがないんです」