ドキリとさせる、射貫くような強い瞳を持つ田中麗奈。1998年に公開されたデビュー作にして主演を務めた『がんばっていきまっしょい』で、日本アカデミー賞、ブルーリボン賞、キネマ旬報ベスト・テンをはじめ、国内の新人賞を総なめにした。同年からスタートしたジュースCMの初代“なっちゃん”としても人気に火が付き、長く親しまれることに。近年では『幼な子われらに生まれ』『福田村事件』、朝ドラ『ブギウギ』、ドラマ『神の子はつぶやく』といった多くの作品で印象を残し、深みを増している田中さんがTHE CHANGEを語る。【第4回/全4回】

――近年は社会派の作品にも多く出られていますが、キャリアを重ねるなか、女優としてのさらなるチェンジを感じた出会いや作品があれば教えてください。
「今までとはちょっと違うね”と言っていただいた作品は、『葛城事件』です」
※『葛城事件』(2016)・・・無差別殺人事件を起こした加害者青年とその家族を見つめたヒューマンドラマ。一家の父を演じた三浦友和さんの壮絶な演技も話題に。田中さんは、死刑制度反対を訴え、無差別殺人事件を起こし死刑囚となった次男・稔(若葉竜也)と、獄中結婚したと家族の前に現れる女性・星野を演じ、新境地を見せた。
「死刑囚と獄中結婚をするという役柄で、とても多くの方からの反響をいただきました」
――翌年に出演された『幼な子われらに生まれ』もとても高く評価されました。
「そうですね」
――そして近年では『福田村事件』(2023)の反響も大きかったのでは。
「『福田村事件』はほかの作品とはまた違う反響も大きかったです。こうした社会派に参加させていただくことによって、『神の子はつぶやく』にも繋がりました」
※NHKのドラマ『神の子はつぶやく』(2023)・・・宗教2世を題材にしたNHKドラマ。田中さんは河合優実演じる主人公の母で、ある宗教団体の熱心な信者を演じた。