忘れるということは自分の心を守るための自己防衛でもある

 そして20代後半、30代が見えてきた頃には「人生を歩むために必要なことは忘れること」と語るようになった。

「引きずってても良いことが無い……かもしれないと思ったんですね。例えば、評価が気になる、じゃあ調べようってなったら、毎日毎日色んな事が書かれるわけです。だったら、そのツールを先ず無くしたら良いんだと気づいたんです」

ーー見ない、と。

「見ないんじゃなくて、いらないんです。本来、いらないモノなんですよね、自分にとって。だから、忘れるということは自分の心を守るための自己防衛でもあるんです」

ーー昔の自分との訣別……というのとは、また違うんですか?

「昔の自分があったから、その考えに至れたとも思うし、傷付いたことも絶対ムダにはなっていないので、昔の自分が嫌だとかそういうのじゃないです」