しんちゃん人生、第2章に入ったところでオファーが!

「『クレヨンしんちゃん』と言えば、ちっちゃいころは"観ちゃいけないアニメ”と言われつつもなんだかんだ観せてもらえていたアニメです。そんな「しんちゃん」に僕はどこか憧れていたんです」

ーーどんなところに憧れていたんですか?

「カリスマ性があるし、なんでもできちゃうじゃないですか。当時は、“しんちゃんは絶対になんとかしてくれる”というイメージがあったんです」

 そんな賀来さんは、子どもを持つ父。「親になり、自分の子どももしんちゃんを観ている姿を見ると感慨深い」としみじみ話す。

「案の定、しんちゃんがお尻を出しているのを観てゲラゲラ笑っているんです。このサイクルって変わらないんだなと、あらためてしんちゃんは大人も子どもも楽しめるキャラクターなんだと実感しました」

 親子で楽しむ賀来さんは、自身を「しんちゃん人生第2章に入ったところ」と表す。

「ちょうど2章に入ったときにオファーをたいだいたので、うれしかったです。緊張しましたけどね。世界観を壊しちゃいけないな、壊したらどうしよう! みたいな緊張感が一番ありました」

 賀来さんが声優を担当する「ウルフ」は、世界トップクラスの大富豪であり、“最強の相棒”を探し、"もっと完璧な自分”を目指しているというキャラクター。今作で"暴君(ボーくん)”になってしまうボーちゃんに惚れ込む役どころ。なかでも見どころのひとつは、作中で歌うシーンだ。独特の歌詞とグルーブの楽曲について、「難しかった!」と話す。

「いやあ、難しかったですね。楽曲自体がすごく難しくて、僕の手に負えるものではないなと」

賀来さんが演じるウルフ 『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』より ©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2025

 だからこそ、アフレコには時間をかけたという。

「事前に見本を聞いて、"無理だ”と思ったんですよ(笑)。自分ひとりで練習するとか絶対無理だ、と。現場に入ったとき“一行一行やっていいですか?”とお願いして。それで一行一行、丁寧にやらせていただいて、少しずつ録って。とにかく難易度の高い歌でしたね」

 俳優歴はもうすぐ20年だが、これまでの経験値に奢ることなく真摯に向き合う賀来さんだからこそ、ウルフの魅力が最大限に発揮されたのだろう。伸びやかな歌声からなる、思わずくすりとさせるユーモアを含んだ歌唱シーンは必見だ。

(つづく)

賀来賢人(かく・けんと)
1989年7月3日生まれ、東京都出身。デビューは2007年。2014年放送NHK連続テレビ小説『花子とアン』でヒロインの兄を、2015年放送NHK大河ドラマ『花燃ゆ』で沖田総司を演じ知名度が急上昇。2018年放送ドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ系)で振り切ったコメディを演じ一躍ブレイクし、2020年にエランドール新人賞を受賞した。近年は製作にも進出、2024年には原案・主演を務めた『忍びの家 House of Ninjas』が公開された。

【作品情報】【作品情報】
『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』
原作★臼井儀人(らくだ社)
「まんがクレヨンしんちゃん.com」連載中/テレビ朝日系列で放送中
監督★橋本昌和 脚本★うえのきみこ
声の出演★しんのすけ/小林由美子 みさえ/ならはしみき
ひろし/森川智之 ひまわり/こおろぎさとみ ほか
声の特別出演★賀来賢人・バイきんぐ(小峠英二・西村瑞樹)
主題歌★Saucy Dog「スパイス」(A-Sketch)
製作★シンエイ動画 テレビ朝日 ADKエモーションズ 双葉社 
配給★東宝
公式サイト: https://www.shinchan-movie.com/2025/