モデル出身で、1995年からは音楽グループ「globe」のメンバーとして活動しているマーク・パンサー。彼の人生のTHE CHANGEとはーー。【第2回/全2回】

あの頃のTKって、本当、スゴイのひと言。寝ないし、食べないし、機材と向き合ってずっと遊んでいる。僕はその後ろでず〜っと立っている感じ。一緒に住んでいた時期もあって、24時間一緒で、それこそ観葉植物のようにずっとそこにいました。そんな生活だったからか、今考えると“本当の自分”がいなかったと思うんです。globeのメンバーとして自分を殺していたというか、ね。
そこから“本物の自分”に出会ったのは、やっぱり嫁に出会ってからじゃないかと思います。結婚して娘が生まれて、それまでモテモテで自由奔放だった生活が一変して(笑) 。今思うと、globeの頃は、自分自身も、めぐってきたチャンスも上手く活かせてなかったと思うんです。毎日が忙しくてとても早くて、今振り返っても、あの当時の記憶が少ないんです。一番楽しかったであろう時期なのに、もったいないことしたなって思います(笑) 。
そんな僕が今回、演技の仕事を久々にすることになりました。ドラマ『御社の乱れ正します! 2』という不倫が題材の、勧善懲悪モノです。本格的な演技は『さよならジュピター』という、小松左京さん原作のSF映画以来、約40年振りです。演じたのはバーのマスター役で、最初に現場に入った時はglobeのマーク・パンサーっぽさ、つまりは掴みどころのない雲の上の人…みたいなイメージをどうにかぶち壊したいなって思いがありました。
音楽の現場だと、globeはTK、KEIKO、僕、3人それぞれ別々な役割があって、それぞれを全うするというスタイルで、いわば自己完結だったんです。でも、演技の仕事はそうじゃなくて、全体をしっかり把握した上で、相手のセリフを全部覚えて受け入れて、お芝居をするというのは面白かったですね。