死刑囚役の黒島結菜と対峙シーンで思わず涙

 黒島さん演じる真珠は、拘置所のアクリル板越しに大げさに泣いてみたり歯茎をむき出しに笑ったり、牙を剥いたりーーと、間近で対峙すると誰もが恐怖心を抱いてしまうような存在感。そんな真珠に、丸山さん演じる桃山香、通称・桃ちゃんは、鬼気迫る勢いでなじられるのだ。

ーー真珠は、桃ちゃんが「30歳・独身」であることで、そういったキーワードでコンプレックスを刺激していたように思いました。

「桃ちゃんの30歳独身って、粋も甘いも、裏切り・絶望・愛……いろいろなことを学んだうえでの“30歳独身”というスタンスなのかな、と思いました。20代の“元気でがむしゃら!”では得られないような、自分を見つめ直す時間がたくさんあると思うし、人と自分を比較してしまう時間もたくさんあるだろうし。

丸山礼 撮影/三浦龍司

 たぶん桃ちゃんは、親から“早く結婚しろ”と言われているような立ち位置なんだろうな、と思いながら演じました。自分もそんなふうになるんだろうなあとか思いながら。そこに“良しあし”はないですが、桃ちゃんと私は、とても身近な立ち位置だったのかな、と思いました」

 丸山さんはこのとき、「桃ちゃんの気持ちがすごくリンクした」という。

「泣きそうになってしまったんです。台本には“泣く”なんて書いていなかったんですけど。ふがふがしだしちゃって。そうしたらカットがかかったあとに、スピーカーから堤さんの声が聞こえてきて。“泣きそうですよね?”と。それで、“涙、出していいですよ”と言われたんです」

 感情が高ぶり、思わず涙を流してしまったというシーンは、観客の胸にも迫るにちがいない。

ヘアメイク:坂手マキ(vicca)/スタイリスト:奥田ひろ子(ルプル)

まるやま・れい
1997年4月1日生まれ、北海道出身。高校3年生のとき、ワタナベエンターテインメントのオーディション「オモ女グランプリ」でモノマネを披露し最優秀賞を受賞。お笑いの道を志す。2015年3月、上京とともにワタナベコメディスクール(22期生)に入学し同年4月にテレビレギュラー番組が決まる。ロバート秋山竜次のモノマネで知名度を得ると、有名人、一般人問わずさまざまなモノマネやあるあるネタを各メディアで発信。2023年にドラマ『ワタシってサバサバしてるから』(NHK総合)で初主演。9月6日公開映画『夏目アラタの結婚』(ワーナー・ブラザース映画)で映画初出演。

『夏目アラタの結婚』
出演:柳楽優弥 黒島結菜 中川大志 丸山 礼 立川志らく 福士誠治 今野浩喜 平岡祐太 藤間爽子佐藤二朗市村正親
監督:堤幸彦
原作:乃木坂太郎
脚本:徳永友一
9月6日(金)より全国公開