芝居で新たな自分を知る

ーー味方さんはどんなタイプの芝居なのでしょうか?

「僕はあまり作り込まずに、まわりが発したものを受けてポンと出す感じです。自分の勝手な解釈で台詞を固めてしまうと、言葉に重みや温度が感じられなくなる気がして、まわりに対して反射的に出したら、どんな音が出るんだろうと感覚的にてやっています。
 今回は西谷監督のもとリハーサルを何回かやらせていただき、あ、こんな音も出るんだ。自分はこんな感じになるんだと可能性が広がりました。様々な演出があり、瞬発的に演っていくと自分の知らない自分が出てきて、作品を作る上で貴重な時間でした。」

ーー聞いていると、なんだか楽しそうです。

「楽しいですね。自分でも予期せぬ音が出たり、自分はこんな感情になるんだなとか、新たな自分を知ることができました。監督にオーケーをもらえたら、またひとつ自分の中に引き出しが増えたという感覚も、とても楽しいです」

ーーそれを聞くと、味方さんのお芝居を見るのが楽しみになります。

「そのとき、どんな感覚だったんだろうと思いながら見ていただければ。僕も放送を見て、ここのシーンはこうなったんだ、あれは違ったのかな?なんて感じながら見ています。使われなかったものは他のシーンで使えるか!など、挑戦できるのも楽しいです」

深澤辰哉との14年ぶりの再会

ーー高校時代の同級生で、同じフジテレビの『わたしの宝物』に出演するSnow Manの深澤辰哉さんと、局内で14年ぶりに再会したそうですが。

「会ったのは高校の卒業式以来です。ふっかとはクラスは違ったのですが、同じ器械体操同好会で、ごはんを食べに行ったりよく遊んでいました。つい最近、当時の仲間たちが多忙を極めるふっかに声をかけて奇跡的に集まれる会があり連絡をもらったのですが、僕は都合が合わず行けませんでした。残念だなと思っていた矢先の再会だったので縁を感じました。」

ーーXに動画があがっていましたが、感動の再会という感じではありませんでした。

「僕らが一番びっくりしました。高校卒業以来なのに、あのときと変わらないテンションで、何も変わらないず話していました」

ーー実際に会って変わったところとかありましたか?

「垢抜けたという言い方が正しいかわからないのですが、二人ともしっかり30代になりました。ちゃんと大人です。笑 たわいもない会話も、しっかり頭を使って喋っている自分たちがそこにいました。
 同じ世界に昔からの仲間がいるというのは嬉しいことですし、励みにも恐怖にもなります。長く続けていくと、こういう再会もあり、続けてきてよかったと改めて感じました」

 味方さんがミュージカルや舞台、アイドルの深澤さんとは違う道を歩みながらも、10年以上の時を経てフジテレビで再会したのは、確かに感慨深いだろう。そして今もまた、味方さんは撮影現場で自らの芝居に挑み続けている。『嘘解きレトリック』を経た、今後の味方さんに期待したい。

(つづく)

味方良介(みかたりょうすけ)
1992年東京都生まれ。小学生の頃よりミュージカルへの思いを強め、2011年『恋するブロードウェイ♪』でミュージカルデビュー。以降、さまざまな作品に出演し、12年には『テニスの王子様』2ndシーズンで柳生比呂士役を演じる。16年には『新・幕末純情伝』に出演、翌年には『熱海殺人事件』で木村伝兵衛役を演じ、俳優としての幅を広げた。20年には映像作品に進出し、ドラマ『教場』(フジテレビ系)に出演。近年は映像作品への出演も多く、24年10月期のドラマ『嘘解きレトリック』(フジテレビ系)では、主演の祝左右馬(鈴鹿央士)の親友で刑事である端崎馨役を演じている。