お笑い芸人、マジシャン、大道芸人など幅広く活躍するほいけんた。ブレイクのきっかけになった『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)ではカラオケを原曲キーで音程を外さず歌うチャレンジコーナー『サビだけカラオケ』で男性初の“10曲成功”を達成した。そんな彼の原点に迫るーー。【第1回/全2回】

ほいけんた 撮影/イシワタフミアキ

 2020年、ぼくは新番組に呼ばれました。『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)の原型の番組です。その番組内のカラオケを原曲キーで音程を外さず歌うチャレンジコーナー『サビだけカラオケ』に出演し、ぼくの運命は大きく変わりました。

 22年9月、男性出演者で初めて“10曲成功”の鬼レンチャンを達成。その3か月後、TM Revolution(西川貴教)さんの『HIGHPRESSURE』にチャレンジし、歌詞を無視して音程だけを合わせ「カラダぐぅ!」と歌ったことでブレイク。それから、2年連続『FNS 27時間テレビ』(フジテレビ系)への出演が決定。昨年は西川さんとの歌唱コラボが実現し、さらには、西川さんが主催する『イナズマロック2023』にもゲストとして呼んでもらいました。

 ここ数年のできごとは夢のようで、まさか、50代で多忙を極めるなんて思ってもいませんでした。

 1965年、ぼくは東京都の中野区で生まれました。両親の教育方針で、3〜5歳までピアノを習い、聞くだけで正確に音階が分かる“絶対音感”を身につけました。それが今の仕事に大いに役立っています。

 5歳のときに両親が離婚。生活は一変し、ぼくは幼稚園もピアノも途中で辞めました。母が働きに出ましたが、家計は苦しく、裕福とは言えませんでした。でも、今思い返すと、それがよかったんだと思います。お金がなくて買えないなら自分で作ろうって、創作意欲が湧いたからです。仮面ライダーの変身ベルトを段ボールで作ったり、まんがを描いたり、ときには、文房具屋さんに置いてあったピンボールゲームをマネして、自分んちのテーブルに自作のピンボールを作ったこともありました。