「必要とされるからって得意気になってしまってはダメ」
自身も少女時代のまぶしい思い出を覚えているからこそ、彼女の彼に向ける視線に共感を寄せた。
「私は末っ子で、きょうだいで一番生意気でした。13歳って、何もかもが輝いて見える年ごろですよね。学校帰りに通る、近所のガソリンスタンドで働いていたお兄さんがすごくカッコよく見えたり。下手に話したりしなかったからこそ、いい思い出になることってありますよね。遠くから見るだけだったから、余計に憧れとして記憶に残っています」
役者としても、さまざまな作風の作品に出演する際に「初心」が心のよすがになる。
「今回もオファーをいただいての舞台ですが、必要とされるからって得意気になってしまってはダメですね。若いころの私はお芝居への苦手意識があって、少しずつ心を開いて、役をいただいたり先輩方の作品を見て勉強したりして演技ができるようになってきました。こんな自分でも役をいただけたという感謝の気持ちや、お芝居が面白くなっていった時期の好奇心を、これからも忘れないでいたいです」
芝居が「嫌いだった」という篠原さんが変われたというきっかけは、ある舞台演出家との出会いだった。
(つづく)