2006年に選挙コンサルティング会社「ダイアログ」を創業。選挙プランナーとして、地方選挙から国政選挙まで300を超える選挙に携わる松田馨さん。勝率7割超を叩き出す彼のTHE CHANGEとは。【第1回/全2回】

松田馨 撮影/宮本賢一

 小池百合子知事の勝利で終わった、今夏の都知事選。石丸伸二さんが注目を集めたこともあり、投票率は上がりました。 

 その躍進の理由は、ユーチューブをはじめとした動画メディアでの人気。都知事選で石丸さんに投票した人たちは、若年層を中心にもともと政治への関心が高かった層ではなく、石丸さんの動画を見たことで、その存在を知り、支持していったのではないでしょうか。

 私は小池陣営にいたので、その勢いには脅威を感じていました。落選したとはいえ、当初マスコミで報道されていた小池VS蓮舫の一騎打ちを覆したのは、選挙史に残る事件だったと思います。

 石丸さん躍進の源流は、2019年にユーチューブで400万回再生されたN国(NHKから国民を守る党)の政見放送や、20年に結党した参政党の切り抜き動画です。自民党総裁選でも各陣営が動画に力を入れていましたし、選挙における動画活用は今後もさらに進むと思います。

 今回の衆議院選挙もそうでしたが、大きな選挙があると、若者の投票率の低さを嘆くニュースが出ます。でも、正直、若者が政治に関心が持てないのは当たり前のことだと思うんです。私自身、学生の頃は、まったく興味がありませんでしたから。

 今では選挙プランナーとして、国政選挙から地方選挙に至るまで多くの選挙に関わっている私ですが、そのきっかけは、PRプランナーとして独立した当初に、大学時代の恩師が滋賀県知事選に立候補したことでした。その後、翌年の滋賀県議会選挙も携わることになり、気が付くと選挙のPRばかりすることに(笑)。

 メディアは大きな選挙しか報じませんが、全国には約1700の自治体があり、ほとんど毎週末、日本のどこかで選挙が行われています。民主主義国家である限り、選挙はなくなるものではないため、食いっぱぐれることはないだろう。それなら、ご縁があって導かれた世界ですし、振り切ってやってみよう! と、選挙プランナーになることを決意しました。