放送中には、『麒麟がくる』織田信長への批判も

――比呂人のことを周囲の人たちは恐れていましたが、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』で演じた織田信長も、部下や視聴者が思わず怯えるような存在でした。当初は、今までにない信長像を演じられることに対して批判的な声もあったようですが、ご自身で当時どのように受け止めていたのでしょうか。

「制作発表の時は、まだマスコミの方にも出演者の情報は知らされていなかったんです。みなさんが席についてからプレスリリースが配られた瞬間に、若干、取材に来てくださった方たちがざわつきまして(笑)。多くの方が“想像と全然違ったぞ”というリアクションだったんです。一応、作品の意図や、自分がやらせてもらう意図としては“これまでとは全く違う信長像”というものを大前提としていたので、予想通りといえば予想通りのリアクションでした」

染谷将太 撮影/有坂政晴

――『麒麟がくる』の信長には「哀しき覇王」というキャッチコピーがついていましたが、初期の頃はまだそのような片鱗はみえていなかったですよね。

「信長が登場する最初の頃は、海で地元の人たちと一緒に漁を楽しむ一人の青年としてしか描かれてないんです。それも展開のひとつの意図としてやっていたのですが、その放送回の試写を見た方々が“全然信長じゃないじゃないか!”といった反応があると聞いて、こちらも一応“そう来るだろうな”と予想はしていたのですが、実際に聞くと不安でしたし“ここから挽回できるのか俺?”と思っていました (苦笑)」