美しい見た目から繰り出される振り切った怪演に、「松本劇場」という言葉を生んだドラマ『やんごとなき一族』(フジテレビ系)から2年。松本若菜の2024年は、芸歴18年目にして『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)『わたしの宝物』(フジテレビ系)と、ゴールデンプライムタイムの連続ドラマ主演を連続で務めた、重要な年になった。飛躍を続ける松本さん。そのTHE CHANGEを改めて聞いた。【第4回/全4回】

松本若菜 撮影/有坂政晴

 松本さんのデビューは、2007年の『仮面ライダー電王』(テレ朝系)。佐藤健さんが演じた野上良太郎の姉・野上愛理役を演じた。その美貌で早くから注目を集め、キャリアを重ねた現在は、シリアスからコメディまで幅のある演技で魅了している。40歳を迎えた2024年は、2クール連続で主演ドラマが放送になるなど、大きな転機となったはずだが「松本さんにとってのCHANGEとは?」という質問には、意外な答えが返ってきた。

「飼っている猫との出会いと生活、ですかね」

──Instagramにも登場している愛猫の“もずくちゃん”(オス)のことですか?

「そうです。愛情はもちろんですけれど、もずくからは人間力や、実は芝居力ももらっているんです」

──人間力や芝居力も!?

「(笑)。猫って、本当にイメージの通り気ままというか、こちらの思い通りにはいかないんですよね。“おいで”と言っても来ません。“ごはん、食べる?”と言えば来ますけど(笑)」

──そんな気ままなもずくちゃんの存在が、人間力や芝居力につながると。

「お芝居って自分の気持ちがいいテンポがあるんです。だけどそれって自分のエゴなんですよね。相手によって、テンポというのは当然違う。それを“そうだよね、当たり前だよね”と思えるようになったのが、猫に出会ってからなんです」

──なるほど。

「そうきたか! じゃあ、こうしよう。とか。自分の思い通りにいかないときの対応への余裕が出てきたといいますか。人間力にしても同じ。“自分が普通なわけじゃない”“自分の考えが当たり前じゃない”と、いろいろな人がいるんだと思えるようになったのも、もずくと出会えたことが大きいと思います。だから私のCHANGEといえば、もずくと出会ったことかなと」

──たくさんあるとは思いますが、もずくちゃんの一番カワイイポイントをなにかひとつ教えてください。

「えっとですね。胃がちょっとしんどいときに限って、おなかに乗ってくる」

──あはは!

「いまじゃない、いまじゃない! というときに飛び乗ってくるんですよ。でもたぶんもずくなりに心配して乗ってきてくれているのかなと。だけど“いまじゃないんだよ”と(笑)。そういうところが憎めないけどかわいい。自慢です」