2014年から放映されたセゾンカードのCMで頭突きによる瓦割りを披露し、一躍世間の注目を集めた俳優、武田梨奈。琉球少林流空手道月心会で黒帯二段の実力の持ち主で、日本では数少ない本格的なアクションを見せられる俳優のひとりだ。空手を活かしたキレのあるアクションは海外でも評価が高い。近年ではアクション以外の作品にも多く出演し、2015年の放送開始から今年で10年を迎える人気ドラマ『ワカコ酒』(テレ東系)では、シーズン1から主人公の村崎ワカコを演じ続けている。そんな彼女の人生におけるターニングポイント、「THE CHANGE」について話を聞いた──。【第1回/全3回】

武田梨奈 撮影/有坂政晴 ヘアメイク/村澤柚香  スタイリスト/吉岡ちさと

 武田さんにとってライフワークともいえる作品がある。テレ東系のドラマ『ワカコ酒』だ。シリーズが始まったのは10年前。その第1作から主人公の村崎ワカコを演じ、今年1月から『ワカコ酒 season8』(テレ東系)が現在放映中だ。「始まった時は23歳でした。当時はお酒もあまり飲めなかったんです(笑)」とスタート当初を振り返る。

「この作品に出会って色々な世界が広がりましたし、大人になるってこんなに楽しいんだってことをワカコに教えてもらいましたね」

 “酒飲みの舌”を持って生まれた26歳のOL・村崎ワカコが仕事終わりや休日に酒処を探して彷徨いひとり酒を堪能する人気シリーズで、原作は累計320万部を超える新久千映の同名コミック。本作の見どころは、なんといっても料理とお酒だ。

「毎回、本番で食べるシーンは何パターンか撮っているんですが、ファーストインプレッションを忘れないように意識しています。熱かったら熱い、硬かったら硬い、と実際に食べた最初の印象をちゃんと表現するようにしているんです。美味しさを表現するのにリアクションのお芝居を作り過ぎてしまうと、ちょっと噓臭くなってしまうので。座長としては、コミュニケーションを多く取ってアットホーム感を大切にしています。ゲストの方や本当のお店の方が出演して下さる時にも緊張されないようにしたいんです。始まってから10年が経ち、ずっと一緒にやっているスタッフさんも多いんですけど、初心を忘れないというのはいつもみんなで心掛けていて、常に新鮮な気持ちで現場に入っています」