今後の歌舞伎界への率直な思い
それは彼らの才能を潰すことにもなるので、もうそこは、好きにしろ、と。歌舞伎をコツコツやったほうがいいというのはあるけれど、歌舞伎というもの自体がずっとこのままの形で残るかというとまたその疑問もある。そういったところをちゃんと見定めて生きていってくれればと思います」
今回の『SEIMEI』も歌舞伎とは違う新たな世界だ。
「今回は邦楽劇というようなカテゴリーになっていますけど、これを観て歌舞伎に見えた場合は歌舞伎と思っていただければいいだけの話で、観た方が、演劇だと思ってもらえたらそれでいいし、團十郎さんと斗亜くんのコラボだって思って観に来る人がいてもいいと思う。
そういう意味でも、それが“邦楽劇だ”で終わるのか、“これ歌舞伎だよね”ってことで歌舞伎に変換して観てもらえるのか、そのあたりの受け止め方の自由さは面白いんじゃないかと思いますね」
最後に今後の歌舞伎界についてもうかがった。
「日本人をマーケットとした演劇の歌舞伎であるならば、難しい時代ですね。難しい時代がいきなり来た、という感じがします。でも、こういう時代に右往左往するんじゃなくて、先に何が来るかを考えて準備していればいいだけの話かなと思いますね。良いときも悪いときもあるので、その悪いときに慌てても仕方ない。
どうしても文化というものは、良いときも悪いときもありますし、歌舞伎だってそうです。いい役者が揃ってても難しい時代もあるし、悪い役者であったとしてもいい時代もある。そういう時代の中での、今はその速度が多分8倍速ぐらいで来てると思います。浮き沈みに対して慌てずに、次の石を置いて準備をしながら過ごすってことかな、と思っています」
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