安倍晴明の世界を描くJAPAN THEATER 『SEIMEI』。異なる分野のクリエイターが参加することで生まれる新しい作品への期待とその可能性を語ってくださった市川團十郎さん。
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歌舞伎が持つ伝統と革新のバランス。固定概念を打破する必要性や、伝統を守りながら新しい表現を模索することの必要性……伝統芸能としての歌舞伎の本質を保ちながら、いかに現代に適応していくかという課題に対する團十郎さんの真剣な姿勢が見えてくる。【第3回/全3回】
これまでの役者人生の中で「ここは大きな転換点だったなと思う”CHANGE”は?」と尋ねると、迷うことなく17歳のときのことを語ってくださった。
「17歳のときに、祖父・十一代目市川團十郎の映像を見たのが一番の“CHANGE”ですね。パーティーがあって、そこで祖父のビデオ映像を見たんですけど、映像を見て、“かっこいい”と思ったんです。そこは大きかった」
運命の出会いだったという。
「私はあんまり歌舞伎をやるつもりがなかったのに、やることになったのは祖父の力。どこで雷に打たれるのか、何の雷に打たれるのか……それが私の場合、祖父の映像だった。
でもその雷に打たれる要因が歌舞伎なのか、他の演劇なのか、もしくは全く他のものなのか、によってだいぶ違うと思うんです。だから私は今から子どもにこうしろなんていうふうに絶対言わない。