長濱ねるが“生きづらさ”を感じる理由

──『いつか、ヒーロー』の登場人物も思い描いていた夢と、現実のはざまで生きています。長濱さんは、理想通りにいかないことがあった場合、どう過ごしていますか?

「いいことがなかったり、自分の理想通りにいかないときがあっても、無理に断ち切らないことにしました。お仕事で“もっとこうすれば良かった”と思ったり、“あまり優しくできなかった”と、悩むことも受け入れようと。うまくいった日といかなかった日をきっぱり分けるのではなくて、“どちらもつながっていて、自分の人生の一部なんだ”と、考えています」

──せわしないこの世の中、何かと「思考の切り替え法」のようなものが求められがちですが、あえて気分を切り替えようとしない、というのはユニークですね。

「白か黒か、折り合いを付けるのが苦手だなって気づきました。いいときも悪いときも、ありのままの自分として認めてあげた方が、私の中では納得できるんです」

──そしてこの世の中が「生きづらい」と思うのはなぜでしょう?

「何かきっかけがあったというよりも、生まれてから不景気と言われてきたり、年上の方と話すと“いまの若い子は冷たい”と言われることもあります。でも自分たちって、たまたまこの時代に生まれただけで、不幸とか運が悪いとは違うのかなと」