俳優・キャスター・文筆業と、マルチな道を行く長濱ねる。およそ3年半のアイドル活動時に絶大な人気を得ると、第二のステージではより自由に、心のおもむくままに感性を発揮してきた。表舞台に飛び込んで今年2025年で10年目になる彼女は、少しずつのCHANGEを経て、いまに至る。そんな日々を振り返ってもらった。【第2回/全4回】

長濱ねる 撮影/有坂政晴 Stylist/市野沢祐大(TEN10) メイク/yuko kazama

 取材中、しばしば「世の中って生きづらいですよね」と口にする長濱。『いつか、ヒーロー』での彼女の役どころは、児童養護施設で育った介護士の樋口ゆかり。ドラマを通じて、世の中と人の心を、彼女なりの感性で鋭くとらえた。

「低賃金や物価高などの暗い話題が続いて、SNSはいろいろな言葉が飛び交って、虚像なのか現実なのかわからない空間になっていて。生きていくだけでしんどくて息苦しく感じるときが多くあります。
 ゆかりも世の中への絶望感とか、世の中が自分に何もしてくれないもどかしさを理不尽に感じて、でも希望がかなわないのは自分が力不足なせいかも、と複雑な気持ちを持っているのかなと想像しました。彼女の言動には、そんな諸々のやるせなさを込めました」