芸人になったのは、芸人しか将来の選択肢がなかったから
そうするとさらにインプットしたくなるから、ショールームに行きメーカーの方と仲良くなり、工場見学して歴史を学び、トイレ掃除ハウツーを学ぶ。仕事をいただいたら学んだことをアウトプットすると、さらに次の仕事が来る。好循環ですよね。そうなる前は、テレビではひともしゃべらずに帰っていくだけだったんです。100人のひな壇の中で、大声でおもしろいことが言えない。実力不足もあり、向き不向きもある、ということを痛感した時期がありました。
そんな僕が芸人になったのは、芸人しか将来の選択肢がなかったからです。トイレについて勉強する前は、ただただラジオとお笑いだけが好きでした。そして、大学時代に相方の岸(学)と出会い、「どきどきキャンプ」としてデビューしました。
小さなライブハウスに出るばかりの日々でしたが、『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)で海外ドラマ『24』のパロディコントをやったところ、プチブレイク。単独ライブでめちゃめちゃスベったネタだったので、「こういう意図しないところで巻き起こる流れってあるよな」という思いでした。お笑いだけで生活できるようになり、『レッドカーペット』には感謝しています。
やがてテレビで見せる芸のスタイルが合わないと感じだしました。そして、08年頃、30歳で「テレビに出たくない」と所属事務所に言いました。驚かれましたね。当時は「テレビ出演=成功」、1秒でもテレビに映るほうが正しいという価値観が多かったですから。そして放送作家の仕事に主軸を置きましたが、作家としての仕事がぽつぽつ入り始めた32歳頃が、人生で一番つらかったです。
佐藤満春(さとう・みつはる)
1978年2月17日、東京都生まれ。2001年、大学時代に知り合った岸学とお笑いコンビ「どきどきキャンプ」を結成し、デビュー。現在は、芸人活動の一方で、放送作家、トイレ・掃除専門家など幅広く活躍。トイレに関する著作も多数手掛け、トイレを愛する仲間と「サトミツ&ザ・トイレッツ」も結成し、音楽活動も行っている。