とうとうカミングアウト。その後、気持ちは晴れるとおもっていたが──
「僕はもともとワイワイするのが大好きですし、そこにいるみんなが笑顔でいられたら、こんなにも最高なことはないって思っていたんですよね。ストレートの人たちにしたら、こんなこと、なんでもないことだと思うんです。
でも、僕からしたら、とんでもなく高いハードルで。その夢をかなえるためには、まずは家族やスタッフ、友達にもカミングアウトをしなくちゃいけないんです。それに、もし内輪だけに話したとしても、プライベートでワイワイしたいだけなのに、何かあれば仕事柄、僕が望まない形でバレてしまう危険性もあります。そんなことを考えていたら、もうできるだけ隠し事をなくして、自分の人生、自分らしくラクに生きたいって思ったんです」
そして迎えたカミングアウトの日。「この日が過ぎれば、あとは幸せに生きていけるだろう」と思っていたが、現実は予想とは違ったようだ。
「本当にカミングアウトしてよかったのか、やらなければもっと違う人生があったのかなど、とにかくふさぎこみ、鬱っぽくなってしまったんです。SNSなどのコメントは、9割がいいコメントで、1割がバックラッシュ(反撃)だったんですが、その少しのバックラッシュでかなり落ち込んでしまって……。
その後は、何もしたくなくなったんです。そんな不安定な状態で仕事を頑張って続けていたら、身体が悲鳴を上げ、帯状疱疹になってしまい、これはダメだと意識を改めました」

與真司郎(あたえ・しんじろう)
1988年11月26日生まれ。京都府出身。2005年にAAAとしてデビュー。2013年からソロ名義でも活動。2016年にカルフォルニアへ留学。その後ロサンゼルスと日本の二拠点で活動。2023年のファンミーティングで、同性愛者であることをカミングアウト。2025年4月16日にカミングアウトまでの道のりとその後の人生を描いたノンフィクションエッセイ『人生そんなもん』(講談社)を発売。