主演の北川景子とは大河ドラマ『どうする家康』で共演

──北川さんとは一昨年の大河ドラマどうする家康』以来の共演になります。

「北川さんは美しい方なので“こんなキレイな鼻があったらな”なんて邪心が芽生えてしまわないよう(苦笑)、しっかり芝居をしています。この物語は、台本だけでは測り取れない人間の情念が人々を動かしていく。旭の“まさか自分がこんなことになるなんて”という感情を僕も味わいながらの撮影で、楽しみながらやっています」

──制作発表でも、北川さんや共演者の皆さんから、現場での大森さんを「カッコいい」と絶賛されていました。

「そんなに褒(ほ)められると、どんな顔をしていいかわからなくなりますね(笑)。つい上を向いてしまいます。旭も家庭があって人生があるから、憎みきれない人物に映っているかも。本気で憎まれるために、北川さんの体当たりの表現にこちらも全力で返していきます。娘の萌子役・倉田瑛茉さんも、現場ではみんなが本当に連れて帰りたくなるくらい、かわいらしいです」

大森南朋 撮影/有坂政晴

──それでも、ドラマでは結城旭として、暗転する運命に必死で立ち向かっていきます。こういった「どうにもならない理不尽」に直面したとき、大森さんはどう向き合ってきたのでしょうか?

「自分自身についていえば、時間をかけて結論を探していくのが、一番の解決策でした。個々の芝居のことも、人生についても。性急に結論を出すっていうのは、意外と思わぬあつれきを招くなと思っています。自分も相手も気持ちを落ち着かせるために、時間って大事なんです。本当はなるべく穏便に済ませて生きたいのですが、そうもいかないのが旭の人生です」

 真面目に働き二人の娘を育ててきた男の悲劇。壮年男性らしい苦悩や葛藤を、映像の中ににじませていく。

大森南朋(おおもり・なお)
1972年2月19日、東京都生まれ。1996年のCM出演をきっかけに本格的に役者としての活動を開始。2001年『殺し屋1』で、主人公のイチを演じて映画初主演。2003年キネマ旬報ベストテンにて助演男優賞、ヨコハマ映画祭最優秀助演男優賞(『赤目四十八瀧心中未遂』『ヴァイブレータ』)受賞、2010年日本アカデミー賞優秀主演男優賞(『ハゲタカ』)を受賞。映画『アウトレイジ 最終章』、『法廷遊戯』、『首』、『かくかくしかじか』、大河ドラマ『龍馬伝』『どうする家康』(すべてNHK)、『サイン-法医学者 柚木貴志の事件-』(テレビ朝日系)、『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)、『マウンテンドクター』(カンテレ・フジテレビ系)など、多数の作品に出演。現在は放送中のドラマ『あなたを奪ったその日から』に出演中。
衣装:星 翔子(ビッグウッド)
ヘアメイク:枝廣優綺(Ange.G)

『あなたを奪ったその日から』

カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00~22:54放送
出演:北川景子、仁村紗和、平祐奈、阿部亮平(Snow Man)、水澤紳吾、小川李奈、一色香澄、田山由起、内藤秀一郎、原日出子、鶴田真由、大浦龍宇一、中原丈雄、筒井道隆、大森南朋
脚本:池田奈津子
演出:松木創、淵上正人、本間利幸、大﨑翔
企画:水野綾子
音楽:村松崇継
主題歌:back number「ブルーアンバー」(ユニバーサル シグマ)
プロデューサー:三方祐人
制作:カンテレ、共同テレビ
©︎カンテレ

『あなたを奪ったその日から』カンテレ・フジテレビ系