20代より映画、ドラマ、舞台で多彩な役を演じ続けてきた俳優・大森南朋。50代になってもなおダンディな魅力を放つ彼が、ドラマ『あなたを奪ったその日から』(カンテレ/フジテレビ系)で演じるのは、主人公から憎まれ、また自身も苦悩を抱えているという役どころ。徒手空拳のところから俳優業を始め、30年あまり芸能界で戦ってきた大森のCHANGEを聞いた。【第3回/全3回】

大森南朋 撮影/有坂政晴

 ドラマから映画化までされた『ハゲタカ』のヒットまで、主に映画界を中心に活躍を続けていた大森だが、実は不安定な20代を過ごしていたという。さらに父は同じ業界のレジェンド。先が見えない時期を切り抜けた原動力は、反骨心だった。

──20代、俳優として食べていけるかという不安はなかったのでしょうか?

「やっていけると実感ができてきたのは遅くて、32歳くらいのことです。そのころようやく、連続ドラマの役を継続してもらえるようになって、やっと生活が安定してきました。それまでも好きな映画に出させてもらったりはしていましたが、常にお金はギリギリでしたね。
 でも結局、最後は“何とかなるだろう”と気楽に考えて、これまで切り抜けてきました(笑)。何歳までに稼げなかったら辞めるというような、具体的な引き際も考えていなかったです。似たような引き際を考えていた俳優仲間も、結局いまも役者をやっています。僕も含め、みんなこの仕事が好きで、縁に助けられてここまでやってこられました」