1983年に放送されたドラマ『青が散る』(TBS系)で俳優デビューを果たしてから40年余りのキャリアを持つ石黒賢。90年代には誰もが夢中になったトレンディドラマ『振り返れば奴がいる』(93年・フジテレビ)で情熱派の外科医・石川玄を演じ、俳優としてのスタンスを確立させた。デビューから今日に至るまで実に様々な役をこなし、数々のドラマ、映画等に出演。来年還暦を迎えるが、現役として第一線で活躍し続ける石黒さんにとってのTHE CHANGEとは──。【第1回/全4回】

石黒賢 撮影/有坂政晴

 俳優として40年余りのキャリアを持つ石黒さんが主演を務めることになった舞台『反乱のボヤージュ』。原作は江戸川乱歩賞を受賞した作家で脚本家でもある野沢尚の同名小説で2001年にテレビ朝日系列でドラマ化されたこともある。

「野沢さんの作品の中でも印象に残っているのは『眠れる森』です。それぞれの登場人物にちゃんと物語があって、これは演じる側もすごく意気に感じるだろうということが伝わってきました」

 ドラマ『眠れる森』(フジテレビ系)は98年に放映された中山美穂と木村拓哉のW主演による純愛ミステリーの傑作。最高視聴率が30%を超える大ヒットとなり、原作・脚本を担当した野沢尚は、当時歴代最年少で向田邦子賞を受賞した。

「そんな野沢作品に出演するのは願いが叶ったというか本当に嬉しいです。来年60歳になろうっていうのにこんな大きな舞台がやれるなんて、ありがたいなと思います。石黒賢にこの役をやらせてみようと思ってくださった方たちの誠意にちゃんと応えたいです」

 『反乱のボヤージュ』は、学生寮を舞台に大人社会との狭間で闘う若者たちの葛藤を軸にその学生寮に着任した舎監との心の交流を描いた青春群像劇。演出と脚本を担当するのは鴻上尚史だ。

「稽古前に鴻上さんからは僕の中の男臭さや父性がどう出てくるのかすごく楽しみだと言われたんです。だから、本番が終わって“がっかりだったよ”って言われないように臨みたいと思います」