“自分”というものが確立されたのは、ピンでの活動が本格的に始まったとき
コンビで仕事をしているとどうしても半分、半分で補完されていたところがありますから。当時はすでに『スッキリ』とか他のピンの仕事も始めていました。だけど、極楽とんぼという2人に戻れる場所があったわけです。この世界に入ったときから、山本と2人でしたからね。それがひとりになったというのは、すごく大きな転機でした。
それまでは言ってしまえば、どこかで“関係ねえ”“いつでも辞めてやるわ”みたいなところがありました。でもそこで改めて、他の人とはかぶらない、ちゃんと自分ができること、自分らしさを考えて、来た仕事を一生懸命やらせてもらおうと思いました。もちろん以前から一生懸命はやっていましたよ。だけど“自分”というものが確立されたのは、ピンでの活動が本格的に始まったときだと思います。
強くならざるを得なかったし、ひとりでやるという覚悟を持つしかありませんでした。
そこからやってきて、今回、15分という短い時間ですけど初監督を務めて、ものすごい変革がありました。いやあ、スタッフさんへの感謝が足りなかったと痛感しましたね。
これまでの僕は、現場に行ってメイクして、ちょろちょろっとやってケータリング食って帰っていただけだったんだなと。ひとつの作品を作るためには、ロケ地を探してくれる人や移動車を用意してくれる人、ケータリングを用意してくれる人もいる。多くの人がかかわっているんだと再認識しました。
監督として作品全体を見られるようになったことで、視野も広がりましたね。175度くらいは撮影現場を見まわせるようになったんじゃないかな(笑)。監督というのはもちろんお話がなければできない仕事ですが、とにかく僕は「何でもやる」スタンス。またオファーさえあれば、やらないという選択肢はないです。
加藤浩次(かとうこうじ)
1969年4月26日生まれ。北海道小樽市出身。1989年、山本圭壱と出会い「極楽とんぼ」を結成。現在、テレビ番組のMCをはじめコンビとしても活躍の場を広げている。
『MIRRORLIAR FILMS SEASON7』
2020年より始動した、伊藤主税、阿部進之介、山田孝之らがプロデュースする『MIRRORLIAR FILMSFILMS』(ミラーライアーフィルムズ)は、メジャーとインディーズを超えた多彩なクリエイターによる短編映画制作プロジェクト。2024年のSeason6までに著名クリエイターから一般公募まで、俳優、映画監督、漫画家、ミュージシャンなどが監督した47本の短編映画を劇場公開。加藤浩次が監督する作品『Victims』は路上駐車から始まる人間模様を描いた作品。2025年5月9日から2週間劇場公開される。
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