モデルやCM、バラエティ、そして最近では俳優としても活躍中の佐藤栞里。彼女の明るく元気で飾らないキャラクターは、幅広い世代に愛されている。デビューから20年以上のキャリアを持つ彼女に、自身の転機について聞いてみた。【第1回/全4回】

佐藤さんが出演する映画『父と僕の終わらない歌』は、かつてレコードデビューを夢見たものの諦め、現在は楽器店を営む間宮哲太が、アルツハイマー型認知症に罹りながらも息子・雄太と地元の仲間たちの支援でCDデビューを目指す物語だ。この映画は、イギリス人の親子の実話を日本の横須賀に置き換えて描かれている。哲太役は寺尾聰、雄太役は松坂桃李、哲太の妻・律子役は松坂慶子が演じている。
「このお話をいただいた時、寺尾聰さんと松坂桃李さん、松坂慶子さんが出演されることもお聞きして。台本をいただいて、話している姿を思い浮かべながら読んでいたら、飛行機の中で涙が止まりませんでした。その時はマスクをつけていたんですけど、気が付いたらもうマスクの中がびしょびしょになるくらい。この作品は多くの人に届くと感じて、それは一目惚れにも似た感情でした。その後、出演が決まり、両親に“こんな素敵な作品とご縁があったよ”と話したんです。本当はまだ言っちゃいけなかったかもしれないんですけど(笑)。両親はすごく驚いて、まだ撮影もしていないのに、完成が楽しみだと喜んでくれました」