モデルやCM、バラエティ、そして最近では俳優としても活躍中の佐藤栞里。彼女の明るく元気で飾らないキャラクターは、幅広い世代に愛されている。デビューから20年以上のキャリアを持つ彼女に、自身の転機について聞いてみた。【第4回/全4回】

佐藤栞里 撮影/冨田望

 モデルやバラエティで活躍する佐藤栞里さんが、映画『父と僕の終わらない歌』に出演し、俳優としての新たな一面を見せてくれている。これまでにもいくつかのドラマや映画に出演してきた彼女だが、俳優としての意識に特に大きな影響を与えたと語るのは、ドラマ『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(2021年)への出演。このドラマは、オペ室を搭載したERカーで事故や災害現場に駆け付け、患者の命を救う都知事直轄の救命医療チームの活躍を描いた物語だ。

「今回出演した映画『父と僕の終わらない歌』もそうなんですが、オファーをいただいた時は“私にできるのだろうか”とか“私で大丈夫なのかな”という不安がよぎりました。でも、佐藤栞里でいこうと言ってくださる方のことを考えたら、その人のためにも頑張りたいと思ったんです。そう考えてくださった方がたった一人だったとしても」

 佐藤さんは、TOKYO MERのチーフドクター・喜多見幸太(鈴木亮平)の妹・涼香役を演じた。涼香は第10話でテロの爆破に巻き込まれて命を落とす役どころだ。

「涼香が亡くなることは台本をいただいた当初からお聞きしていました。放映後、涼香を失ったことへの悲しみの言葉をたくさん目にして、『TOKYO MER』という作品が、そして涼香が、どれだけ愛されていたかを知ることができました。本当にありがたかったです」

 放映後しばらくは、スーパーで買い物をしているとレジの店員さんに「生きててよかった~」と言われることもあったという。このドラマで俳優として本格的にスタートを切ったといえるだろう。

「右も左も分からない状態で撮影に入りましたが、鈴木亮平さんや賀来賢人さんがあたたかく熱心にアドバイスをくださり、過酷な状況の中でもひとつの作品をみんなで丁寧に作っていく、その喜びを感じることができました。亮平さんに“涼香が栞里ちゃんでよかった”と言ってもらえた時は、私がいた意味があったのかもしれないと思えて本当に嬉しかったです」