「楽器を持たないパンクバンド」BiSHの解散から2年。ソロアーティストとして活動するアイナ・ジ・エンドさんの活躍が目覚ましい。シンガーソングライター、ダンサー、そして俳優としても才能を開花させるなど、とどまるところを知らない。6月9日には、その豊かな表現力が余すことなく発揮された初のフォトエッセイ『達者じゃなくても』(幻冬舎)を上梓する。そんなアイナさんのTHE CHANGEとは。【第1回/全5回】

アイナ・ジ・エンド 撮影/冨田望 スタイリスト/菅沼愛

 タイトなピンク色のトップスとショートパンツに身を包み、シャッター音が鳴るたびにしなやかに体を動かす、アイナ・ジ・エンドさん。ほんの数分の写真撮影ですら、ひとつのパフォーマンスを見ているようで目が離せない。カメラマンが「こんなに撮りがいのある人はいないよ」と独り言のように漏らす。

撮影が終わり記者の前に座るアイナさんは、一転して人懐っこい笑顔を向ける。6月9日に上梓する初のフォトエッセイ集『達者じゃなくても』の感想を伝えると、「えーー! うれしい! ありがとうございます!」と情感豊かな声色で言う。

「書きながら思い出して心が揺れたのは、BiSHのことですね」

「楽器を持たないパンクバンド」というコンセプトで2016年にデビューしたBiSH。アイナさんは、結成から東京ドーム公演をもって解散した2023年6月29日まで、それぞれ個性の尖ったメンバーとともに、苦楽を肌で感じ、濃密な日々を過ごした。