キネマ旬報新人賞、ブルーリボン新人賞などを受賞した主演デビュー映画『愛の新世界』から、強い輝きを放ってきた鈴木砂羽。現在は俳優業のほかバラエティ番組でも活躍し、絵の才能や飾らぬ人柄も知られているが、悩みが多かった時期もあったという。仕事から体調面まで、包み隠さず語る鈴木さんのTHE CHANGEとは――。【第4回/全4回】

鈴木砂羽 撮影/三浦龍司

 20代前半から芸能界で活躍を続ける鈴木さん。「10年ひと昔と昔から言うけれど、確かに各年代ごとに人生の変化ってある」と振り返る。そんな鈴木さんは、現在50代へと突入した。

「45歳以降になってきて、更年期とか体の不調がきました。これまでとは違う体の不調。しかもコロナ禍もあった。これはまたすごく大きかったですね」

いわゆる女性特有の体調の変化が、鈴木さんにも訪れた。

「本当に更年期の不調がね。すごかったんですよ。起きるのもしんどくて。できていた子宮筋腫もすごく大きくなっちゃって。どんどん体調が悪くなるし、どうしようと考えていたときにコロナ禍になって、否応なく自分と向き合う時間ができました」

――コロナ禍ではやはり自分と向き合う必要がありましたか。

「みんなが静かに暮らさなきゃいけないステイホーム期間だったでしょ。あの期間は大きかったですね。いろんなことを考えて、それまでお世話になってきた事務所も出て独立することも決めましたし」

――独立というのも非常に大きな決断です。ステイホームだったとはいえ、自分に向き合うのは大変です。

「人って、自分のことを見つめるのが苦手なんですよね。逃げちゃいたいし。どうにか自分だけは正当化して生きていきたい。でもそれでもいいと思うんですよ。“どんな自分でもいいんだ”と認めてあげられれば良いんだと思います。

 今まで生きてきたことを“あれもダメ、これもダメだった”と否定することが、自分を直視することだと思いがちですけど、違います。こんな失敗も、あんな失敗もあったし、こういったこともあったけれど、でも“いいんだよ、よかったんだよ”と事実を受容することが、自分を受け入れることなんだと思います」