自分を動かすのは自分の言葉
――なるほど。自分を責めるのではなく。
「一瞬責めてもいいし、たとえば家庭で自分がこうしたからこうなったとか、反省も含めていろんなことが頭を巡ると思いますが、そのときそのときの決断だったんだから。そこをちゃんと認めてあげられれば、 “じゃあ、次に行こう”ってひとつ階段を上れると実感しました。誰が背中を押してくれるわけじゃないんです。自分で自分の背中を押せたから、次の扉を開こうと」

――独立も次の扉といえますね。最初に体の不調の話がありましたが、2022年に子宮筋腫摘出の手術をされています。それも自分自身で解決できる道があるのならと?
「そうです。自分の体のためにできることを全部しようと。この肉体を動かしていくにはどうしたらいいのか、“じゃあ、悪いところを治そうよ”と。ほかにもたとえば、弱いところがあれば、鍛えようよとかね。それも誰が言ってくれてもダメで、やることに自分が気づくしかないんです。これまで母親とか周囲がいろいろ叱咤激励してお尻を叩いてきてくれましたが、やっぱり自分を動かすのは自分の言葉なんだと実感しました」
自身を見つめて、さらに“自分”を太くした鈴木さん。各年代ごとにいろんな変化があったというが、すべてを考えるに「私のチェンジは“進化”」だとまとめてくれた。俳優として、人として、さらに磨きをかけていける年代に入った鈴木さん。心身の変化はこれからも訪れるだろうが、その都度“進化”していく。
鈴木砂羽(すずき・さわ)
1972年9月20日生まれ、静岡県浜松市出身。 94年に映画『愛の新世界』で主演デビューを果たし、第37回ブルーリボン賞新人賞、キネマ旬報新人賞、毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞などを受賞し、一気に注目の俳優となる。以来、ドラマ、映画、舞台とジャンルを問わず活躍。バラエティ番組への出演でも人気を博す。さらに舞台演出やマンガの執筆など、俳優業以外の面でも活躍し、支持されている。主な出演作にドラマ『相棒』シリーズ、大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』、連続テレビ小説『まれ』ほか。最新出演映画『ゴッドマザー〜コシノアヤコの生涯〜』では世界的ファッションデザイナーのコシノジュンコを演じている。
『ゴッドマザー〜コシノアヤコの生涯〜』
監督・撮影:曽根剛
脚本:池田テツヒロ
出演:大地真央、黒谷友香、鈴木砂羽、水上京香、温水洋一、木村祐一、市川右團次
配給・製作:日活、東京テアトル