イギリスへの留学を伝えた際、返ってきた母の一言に大きな気づきが

──お母様の反応が意外だった、というのは、それまでは「身近な人の期待に応えたい」という気持ちが強かったのでしょうか。

「僕は4歳からテレビに出ていました。小さいころは母に連れられて現場に行っていましたし、母方の祖父母は僕が出ている番組を見て、いつも喜んでくれていたんです。でも大人になって祖父母も亡くなって、ふと“じゃあ、自分は何のために仕事をしようかな”って、自分のなかでなにかを失くしていくばかりだったんですよね、当時。
 そんなとき、これまで自分の芸能生活を見てきた母は、いまどんな風に見ているんだろうか、という意味合いの問いかけでもあったんです」

ウエンツ瑛士 撮影/有坂政晴

──仕事へのモチベーションというか、拠(よ)り所が変わってきたタイミングでもあったと。

「もともと、“こうなりたい!”という強烈な夢を持って芸能界に入ったわけではなかったので、家族やファンの方々が喜んでくれるっていうのは、小さなころの自分にとっては分かりやすく、それまではみんなのために頑張ろう、という気持ちだったんです。
 でもあのときの母の反応で、改めて“自分の責任で人生を生きていくんだな”って、(誰かに喜んでもらうために頑張るというのは)ある意味、人に寄りかかっていたんだなと気が付くきっかけになりましたね。たぶん母は、覚えてもいないと思いますが(笑)」