柴咲コウは、これまでの活動で視聴者に鮮烈な印象を残してきた。あるときはドラマで、また別のときにはアーティストとして縦横無尽に活躍。90年代から現在に至るまで順風満帆に見える彼女の人生の転機とは?【第1回/全3回】

もし100人に「柴咲コウが演じた中で好きだった役柄は?」と尋ねたら、おそらくその答えはかなりバラエティに富んでいるに違いない。
ある人は『ガリレオ』シリーズの内海薫だと言い、ある人は『Dr.コトー診療所』の星野彩佳だと答え、またある人は映画『黄泉がえり』のRUIが忘れられないと言うかもしれない。
「好奇心が動く作品に出たいという思いは、ずっと変わらずわたしの中にありますが、20代は演技の技術を磨くために、さまざまな作品、役柄にチャレンジし続けました」
過去の出演作をさかのぼってみると、ここ20年は常に映画やテレビドラマで柴咲の姿を観ていたことに驚く。その上、どの作品でも彼女にしか出せない特別な魅力を役柄にプラスして、鮮烈な印象を残してきた。
「役に出会うたびに、世界が広がっていく感じがします。たとえば聴覚を失った役を演じた『オレンジデイズ』というドラマで学んだ手話は、ろうあの方ともコミュニケーションできる言語。手話の台詞はまだ覚えていますし 、もっと話せるようになりたいと今も思っています」