ハムテルの演技で意識したこと
『動物のお医者さん』は佐々木倫子による少女漫画の実写ドラマ化作品。札幌市にある「H大学獣医学部」を舞台に、獣医師を目指す学生たちの日常が描かれた。吉沢さんは主人公のハムテルこと西根公輝を演じた。主人公の飼い犬“チョビ”として、当時日本では珍しかったシベリアン・ハスキーが登場し、シベリアン・ハスキーブームが起きたことでも知られる。
――たしかにもともと原作ファンも多い作品でしたが、吉沢さんのドラマ版も支持されましたし、今でも根強い人気があります。
「そうなら嬉しいですね。あのときいろんなステキな監督がいらっしゃったんですけど、チーフを佐藤嗣麻子監督(『エコエコアザラク』『アンフェア』シリーズなど)がされていて、“ハムテルはあまり感情を出さないで欲しい”という指示でした。もちろんチョビとか、ほかの動物に対して心が動く瞬間はあっても、それを分かりやすい表情で“今、嬉しい!”など分かるキャラクターではないと。原作もそうではあるんですけど、そのことが、自分の中ではけっこう大変な作業でした」
――思っているけど、外には出ていない。だけど興味はある。その感じが伝わってきました。
「僕はすごく悩みました。そもそも動物を扱うという時点でコントロールできないですし、彼ら彼女たちの思いをなるべく受け取りたいと思いながら現場にいましたけど、そんなにキャリアもないときでした。引き出しもなくて、すごく悩んだ時期でした」