PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しみ、壮絶な治療と向き合った渡邊渚さん。そんな彼女が笑顔を取り戻すまでの“奮闘”や、新たな“希望”、かなえたい“夢”など、これまでの、そして、これからの“人生の転機”、THE CHANGEについて、話をうかがった!(全5回/第5回)

撮影/川しまゆうこ

「早く一人前の大人になって自立したい…」

 フォトエッセイ『透明を満たす』(講談社)の最後には「あなたの人生はあなたのもの。誰にも奪えない」という言葉が綴られている。

 その言葉は、現在の渡邊さんを象徴しているようにも思える。そのことを渡邊渚さんに伝えると、次のような言葉が返ってきた。

「ありがとうございます。私は学生時代、社会的に安定している仕事や、収入を求めていたんです。早く一人前の大人になって自立したい…そう考えていたんですね。

 だから、自分の中で“ちょっと違うな”と思ったことに対しても目をつむって我慢をしたり、イヤな空間に身を置いたりしたこともありました。

 でも、それって、多くの人が経験したことがあると思うんです。とくに日本では“我慢が美徳”とされがちですし、大人の意見に従うことができる人間ほど“ちゃんとしている”と見られることが多いんですよね。

 でも、人生は一度きりで、28歳の私は、今ここにしかいないんです。

 もし明日、死んでしまうとしたら、やり残したことがあると思って死にたくはないですし、やりたいことをやったほうが絶対に幸せだと思うんです」

──その思いは、現在の活動にもつながっているのでしょうか?

「はい。もちろん、やりたいことをするためには、やりたくないことを人一倍やらなければいけない、という考え方もあると思います。

 でも、結果的に自分が生きたい人生を諦めない、という気持ちは、誰もが持ってもいいんじゃないかな、と思います。

 人生で少し立ち止まる瞬間があったからこそ、今、やりたいことがある、かなえたい夢があるって、本当に尊いことだと気づきました。

 だから今は、周りの目や世間体にとらわれずに、自分がしたいことを積極的に優先していこうと思っています」

 ──最近、新しく始められた「やりたいこと」は、なんでしょうか?