感想については、もう任せようと思っています

ーーどこまで自分のことを話すかは、悩みましたか?

「書けない部分もあるので悩みはしましたが、自分の小さい頃のこと、荒川の始まりみたいな部分に、興味を持ってもらえること自体に感謝です。しかも、そういう話って答えがないじゃないですか。読んでくださる方も、私と親も人生も、何もかも違うわけで。
 だから、感想については、もう任せようと思っています。言い訳も何もせずに、とりあえず、これが“完成”って。あとは、皆さんの感受性とこの本が、どうつながっていくのか。“ああ、ここで読み飽きたわ”でもいいし、“とってもいい! かわいい”と思ってくれても、“しょうもない”でもいいと思っています」

エルフ荒川

ーー本作りで難しかったことは?

「文章って、なんやろって、途中で、分からなくなりました。でも今回、本を書いたことで、本に興味が湧いてきたんです。
 最近、読んだのは『カフネ』(阿部 暁子著・講談社)という小説。「本屋大賞」1位で、“なんかの1位とる本って、どういう本なんやろ?”って読んだら、もう涙が止まらなくて、読み終わってもずっと泣いて。文字なのに、こんないろんな想像をしたり、思い出したり、考えるって、すごい楽しいなと思ったんです。
 それで、自分の本『人間合格』を改めて読み直したら、句読点とかビックリマークで止まるから、“なんや、この本”と思って(笑)。でも、本好きから見たら、ひっくり返るエッセイかもしれないけど、読まへん人にとっては超読みやすいみたい。ギャルの妹は“読みやすい”って言ってたんで。

ーー『人間合格』は、それぞれのエピソードにオチがありましたね。

「今までエッセイも読んだことがなかったんです。皆さん、どんなこと書いてんのかなと、自分の本ができてから、他のを読んでみたら、ボケとオチとか、そういうのとちゃうやん、みたいな(笑)」

ーーいつも明るいイメージですが、落ち込んだときは、どう乗り切っていますか?

「自分は、“明日、死ぬかもしれんしな”って思っちゃうほうなんです。それもあって、『一日一生』っていう言葉が“めっちゃいいな”と思ってます。“一日を一生のように生きなさい”という意味で、明日がないみたいに生きる。
 自分が先のことばっかり考えちゃって疲れてたときに、とりあえず目の前のことを頑張ってたら、仕事もだんだん、つらくなくなったという経験もありました。
 あとは悩みも楽しみも全部、生きる理由にする。苦しいも楽しいも全部なくなったときが、それこそ一番しんどい。人生、全部に意味ないとなったら、もう、やりたいこと、全部やったほうがいい!」

ーーそんな荒川さんの今年、やりたいこと、目標とは?

「流行語大賞です。『人間合格』!」(絶叫)

エルフ荒川(えるふ・あらかわ)
1996年8月30日、大阪府生まれ。吉本興行所属の漫才コンビ「エルフ」のギャル芸人。2016年に、はるとコンビを結成。荒川がギャルであることを生かした漫才を武器に、23年には「女芸人No.1決定戦THE W」(日本テレビ系)で準優勝を果たす。8月22日に国立代々木競技場第二体育館(東京都)にて『エルフpresents 真夏のぶちアゲ運動会 ~本気でドッジボールします~』を開催。