つらいからって辞めちゃうと、それが癖になる

 95年は、カナダの世界選手権において、僕にとって世界で唯一の金メダルを獲得した年でした。前半は2本目に大ジャンプして、後半のクロカンは第一走者でスタート。後続を引き離したままの団体優勝でした。

 長野五輪はその3年後。実は、その頃、日本代表といっても補欠のままで、直前になってギリギリメンバー入りするくらい、調子が落ちていたんです。団体5位、個人6位にどうにか入賞できました。

 オリンピックは2月でしたが、同じ年の7月に、現役引退しました。長野五輪に出場できたから、荻原も双子だということを、世間は少し知ってくれたかな。自分も吹っ切れたかなと感じていましたね。

 以降は、いろんな人に相談して、荻原次晴という独立した人生を、スポーツキャスターとして、歩もうと思ったわけです。

 あれから27年。今は結婚して子供も4人います。高1の長女は、実は今、北海道の高校でスキージャンプをやっているんです。僕から何か言ったわけじゃないのに、自分から「スキーがやりたい」と言い出して。

 いえ、まだ五輪選手になりたいっていうレベルじゃなく、楽しくスキージャンプがやりたい、っていう段階ですけどね。でも、そのうち壁にぶち当たったら、一応僕もスポーツ界の先輩なので、アドバイスはできると思います(笑)。

 スポーツ以外もそうですが、自分がやってることがつらいからって辞めちゃうと、それが癖になると思うんです。社会に出たらつらいことはたくさんありますが、スポーツくらいは頑張らなきゃダメですよ。

荻原次晴(おぎわら つぎはる)
1969年12月20日、群馬県草津町生まれ。双子の兄は、現・長野市長の荻原健司。95年カナダ世界選手権団体で優勝し金メダルを獲得。98年長野冬季五輪では、団体5位、個人6位入賞、引退後は、スポーツキャスター。『次晴登山部』では、日本百名山へツアー登山を主催している。4児の父親。

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