若いころ、向井の根底にあったもの「本来楽しいはずのものを、なんで競わなきゃいけないんだろう」
大学を卒業後、24歳での俳優デビューの前に1年ほどサラリーマンを経験していた向井の生き方は、“流れるように”という比喩(ひゆ)が最も似合うかもしれない。
「子供のころから、親に“ああしろ、こうしろ”とあまり言われずに育ちました。受験するときも、自分で学校を決めて、親に“受験料ちょうだい”と話して、初めて親が知るような(笑)。大学も高校も自分で選んだんですが、高校の決め手は家から近かったのと、プールがないからでした(笑)。泳ぐのは好きでしたが、授業は嫌いだったんですね」

──強制されるのがイヤだったのでしょうか。
「遊びで泳ぐのは楽しいのに、授業でタイムを測ったり、強制されたりするのは“違うだろう”と心の底で思っていて。本来楽しいはずのものを、なんで競わなきゃいけないんだろう、と。そういう感覚は昔からありましたね」
──そんな自由でいたい感覚は、いまでも大切にしていますか。
「いや、大人になれば何かしら強制される世界で生きていますから、求められることには順応しています。でも若いころはそういう自由な性分があったな、といまになって思いますね」