30周年ライブの映像のために並々ならぬ決意で準備
「まだまだなんです」と謙遜含みの声色だが、並大抵の努力をしたことは想像に難くない。
「ツアー中はスーツもパンパンだったし、トレーニング中の写真を見ると誰が見てもふくよかだと思うような感じだったんです。体型を隠すためにだぼだぼの服を着ようとしていました。けど、これは一生に残るものだから。世の中にはいろいろなアーティストがいるなかで“華原朋美”というアーティストを選んでいただき30周年ライブを放送してくださるなんて、こういうチャンスって、なかなかないと思うんです。だからちゃんと結果を形に残さなきゃいけない。そういった思いが私の軸になっています」
ツアーを一緒に回ったファンたちは、そんな華原さんの努力を逐一感じてきただろう。が、世間は急激な変貌に戸惑いを覚えたのか、「心配」などとおせっかいな声も聞こえてくる。だが、そんな心配が無用だ。
「無理なダイエットはしていないんですよ。ただでさえ、今回24公演というのは30年間のなかで初めての試みでしたし、喉をいい状態にしていることと体力づくりと同時に、お客さまにコンサートを楽しんでいただけるようにと全部計算しながらやってきたので。今回のことは"ただごとではない”と自分でもわかっているので、緊張感を持って体作りに臨んでいるつもりです」

ーー30年間で何度も大きな舞台に立った経験のある華原さんが、今回特に「ただごとではない」と感じるというのはなぜでしょう。
「だって、いま50代ですよ? 体型とか細胞とか、40代、30代と全然違うんですよ。たとえば今回、トレーニング中に細胞を活性化させる電気治療なども取り入れました。50代のいまだからこそ、放送されて恥ずかしくない自分でいるためにがんばろう、という思いが強いんです」
これまで、SNSでダイエットの過程を明かしたことがある華原さんだが、今回は「そういうのは賛否両論を呼ぶので、今回はやらないようにしている。それよりも、楽しんでいたいんです」と話す。30周年を彩る並々ならぬ努力は、着実に実っている。
かはら・ともみ
1974年8月17日生まれ、東京都出身。1995年に小室哲哉プロデュースで歌手デビュー。『I BELIEVE』『I’m proud』がデビュー1年未満でミリオンセラーを記録し、1stアルバム『LOVE BRACE』は257万枚を売り上げた。一躍国民的歌姫となり、セットアップスーツやシャネルを取り入れたファッションを真似する“カハラー”が街にあふれ、テレビ番組で発言した「つゆだく」がトレンドワードになるなど、世間にさまざまな影響を与えた。1999年以降、休養、復帰を繰り返し、2020年に独立、音楽活動を本格的に再開し、昨年11月から今年6月まで20都市24公演のライブツアーを開催した。