2014年に岡部大、菊田竜大とお笑いトリオ「ハナコ」を結成し、お笑いだけでなく俳優や脚本家としても活躍する秋山寛貴。彼のTHE CHANGEとはーー。【第1回/全2回】

秋山寛貴 撮影/河村正和

 僕はとにかくテレビっ子で、特にテレビでやるスタジオコントが当時から大好きでした。

 僕が小学生の頃に大好きだったコント番組で『笑う犬』というシリーズに、ウッチャンナンチャンの内村(光良)さんが演じた小須田部長っていうキャラクターがいるんですけど、僕、すごく好きでして。

 この前、昔のホームビデオが実家から出てきて、それを見ていたら、その小須田部長がつけてる大きな耳当てを、僕と弟と両親、家族4人全員が付けながら食事をしてる映像が出てきました (笑) 。

 おそらくそんな提案をしたのは僕だと思うんですけど、『笑う犬』シリーズに出てくるコントのキャラって、ただ面白い、おかしいというだけじゃなくて、日常生活に浸透するような、愛おしくてマネしたくなるような存在だったんです。

 この番組との出合いが、僕がお笑いを目指すきっかけになりました。その後、高校生になったときに「M‐1甲子園」に出場したんです。当時は、学校ではおとなしく、何の事件も起こさず、穏やかに過ごして脚光も浴びたくない……みたいな性格だったんですけど、お笑い好きの同級生にグイグイ引っ張られて、気付けばエントリーしちゃったんです。

 この大会の岡山予選に出たのが、人生で最初に“人前に出る”体験でした。死ぬほど緊張して、まったくウケないし、見にきていた父親には「声、聞こえんかったで」って言われるしで、二度とやるかと思いましたね。でも、だんだんとその日の記憶が薄れてきて、後に残ったのは悔しさだったんです。で、1年後にもう1回やってみるか、と。それを繰り返して、3年生まで出続けて、最後の年は地方予選ではありますが、優勝させてもらいました。