昨年放送された『濱田祐太郎のブラリモウドク』(ABCテレビ)が2025年の日本民間放送連盟賞で高く評価され、6月には初の自著『迷ったら笑っといてください』(太田出版)を上梓した、先天性の視覚障害を持つお笑い芸人・濱田祐太郎。18年に、『R-1ぐらんぷり』第16代王者に輝いた実話漫談の切っ先は、テレビ制作者に視聴者に、爆笑と少しの「居心地の悪さ」をもたらす。盲目の濱田にしか持ちえない経験と視点で、自身の過去における「THE CHANGE」を聞いた。【第1回/全5回】

濱田祐太郎 撮影/河村正和

 車が行き交う交差点。歩道に立った2人の芸人がカメラに向かって番組名を叫ぶ。テレビでよく見かける街ブラロケ番組の光景だ。そして普段のバラエティでは目にしないことに、1人は右手に白杖を握っていた。

 昨年放送された『濱田祐太郎のブラリモウドク』(ABCテレビ)は盲目のピン芸人・濱田祐太郎が先輩芸人の藤崎マーケット・トキと大阪の街をロケする番組である。4回だけの放送ながらも、2025年日本民間放送連盟賞テレビバラエティ番組部門の近畿地区審査において1位通過。今年9月には1時間スペシャルを放送する運びとなった。その評価に濱田は顔をほころばせる。

「ありがたいことです。関西で一番いいバラエティーだと認めてもらえたのは嬉しかったですね。ただ、ABCテレビの番組が中央審査会に進むことが3年ぶりぐらいらしくて、スタッフの人もあまり要領がわかっていなくて、“どうしたらいいんでしょう?”みたいな反応でした。民放連と言っているから相当すごいものなんだろうなとは思うんですけど」

 トキが濱田を「お笑い座頭市!」「おまえ本当は見えてるやろ~!」と容赦なくいじったかと思えば、濱田は点字ブロックに遭遇しない堀江を歩いて、「おしゃれなだけの街」と毒づいていく。濱田が攻めすぎた古着を着させられたり、ボルダリングに挑戦して滑らかに壁を上がっていったり、遊び遊ばれる映像は新鮮で笑いを誘う。