昨年放送された『濱田祐太郎のブラリモウドク』(ABCテレビ)が2025年の日本民間放送連盟賞で高く評価され、6月には初の自著『迷ったら笑っといてください』(太田出版)を上梓した、先天性の視覚障害を持つお笑い芸人・濱田祐太郎。18年に、『R-1ぐらんぷり』第16代王者に輝いた実話漫談の切っ先は、テレビ制作者に視聴者に、爆笑と少しの「居心地の悪さ」をもたらす。盲目の濱田にしか持ちえない経験と視点で、自身の過去における「THE CHANGE」を聞いた。【第3回/全5回】

現在、濱田は大阪の劇場を中心に活動している。祝休日の寄席では、同じ劇場で3回続けて出番ということもある。その時、「しゃべっている自分が飽きてしまうので、あまり同じネタはしません」という。
「どの話をするかで言うと、自分の出番の一つ前に出ている芸人さんが似た題材をやってる時は変えたりします。でも、“この感じのお客さんやからこの話をしよう”みたいに、劇場のお客さんに合わせることはあまり考えてないです。
だからといって、朝に家を出るとき、今日かけるネタを決めてるわけでもない。なんなら、劇場行くまでの電車の中で面白い出来事があったら、その話をすぐ劇場で喋ったりすることもあります。“今日あった話なんですけどね”から入ると、お客さんが食いつきやすいし、鮮度の高い方がウケやすいというのはもちろんあるので。ただ、鮮度が高ければ面白いかというと、そうでもないんですよ。たとえば、B&Bさんのネタは何年経ってもずっとウケると思うんですよね」
話の選択も柔軟だが、内容も一言一句固めてはいない。