NSC在学中セリフを固めてじゃべった時に覚えた違和感

「ここ笑いどころですよみたいなポイントについては、こういう風に言おうという言い回しはある程度決めてます。でもそのフレーズをあえて書き出したりしてるわけではなくて、その時の雰囲気で喋ってることが多いですね。同じネタでも声のトーンを変えたり、ちょっと早口になったりゆっくりになったり、気分次第で全然変わります。お客さんの感じでこっちがいいかなとゆっくりしゃべるときもありますし、自分が眠くてゆっくりしゃべっているときもありますし、そこらへんはいろいろです」

 NSC在学中は、「ネタをつくり込め」「何度も披露してやりこめ」という指導を受けた。「そういうネタが評価されるのか」と考えた濱田は普段はっきり決めないセリフを固めてしゃべってみたところ、「これは違う。不自然やな」と違和感を覚えたという。

「僕の場合は本当にあったことを喋るネタなので、作り込む必要がないし、やり慣れる必要もない。逆に作り込みすぎた喋りに慣れすぎると、嘘っぽく聞こえる可能性もありそうなんで。
 今劇場でやっているネタは、前半2分が昨日今日テレビで流れていたニュースや最近起こった出来事など、鮮度が重要なネタをやってますね。後半3分に関しては、お客さんが100人いたら70人80人ぐらいが笑ってくれるんじゃないか、何年経ってもウケるだろうみたいな定番のネタをやっている。そこに関してはフォームが崩れないようにしつつも、はめられそうな時事ネタがあったらはめ込んでいったりとかもするので、変えたりすることもあります」

 時には視覚障害による社会的制約をネタにしながらも、話には制約を設けず、濱田は融通無碍に漫談を進めていく。

(つづく)

濱田祐太郎(はまだ・ゆうたろう)
​1989年、兵庫県生まれ。NSC大阪校35期生として、2013年にデビュー。2018年3月に『R-1ぐらんぷり』で優勝。今年5月には吉本新喜劇とコラボした舞台『盲目のお蕎麦剣士が巻き起こす新喜劇』に主演。趣味はギター。好きなものはサンリオ。

■インフォメーション
『迷ったら笑っといてください』
著:濱田祐太郎/発行:太田出版
『濱田祐太郎のブラリモウドク ―盲目芸人のブラリ旅in熱海 1時間スペシャル!濱田の目に夏の熱海はどう映る?―』
https://tver.jp/episodes/eptbmr0fs5

盲目のピン芸人 濱田祐太郎の街ブラバラエティが1時間特番になって帰ってきた!今回はブラリ熱海旅スペシャル!観光客賑わう食べ歩き商店街、海鮮グルメを堪能!さらに人生初のシュノーケリング体験や、20年ぶりの自転車運転も!果たして濱田の目には、熱海はどう映るのか?そして、濱田の唯一無二の武器、「毒舌」=「モウドク」を思う存分発揮しながら熱海の魅力を発見できるのか?