扉をこじ開けるために応募「この瞬間がぼくのTHE CHANGE」
同級生たちが進路を決めはじめ、挑戦してみなければ何も始まらないと履歴書を書いたのは、「俳優になりたい」と思ってから1年後のことだった。
「周りが未来を決めていって……その焦りもあったと思います。子どものころから、人前に出るのが得意なタイプじゃなかったし、何かに心底打ち込んだことがなかったぼくが、どうしてもやりたいと思い、扉をこじ開けるために履歴書を書いて応募した……この瞬間がぼくのTHE CHANGEだったと思います」
思いは届き、事務所のレッスン生としての生活がスタートした。夢への扉が開いたかと思ったが、講師からは「芝居がつまらない」と言われ続け、どうすれば現状を打破できるのか途方に暮れる日々が続く。極めつけは、コロナ禍によるレッスンの中断。
「あのころは、ぼくの人生……まだわずか25年ですけど……において、一番しんどかった時期でした」
まさしく、八方塞がり。彼はその思いを、レッスンに通い始めたときから書いていたノートにぶつけた。