先輩に学んだラウンド時のマナー「歌いながら脱ぎ履きするのって格好悪くない?」

 印象的だったのは、70年代から活動したムード歌謡グループ「敏いとうとハッピー&ブルー」の後継グループ「新☆ハッピー&ブルー」の存在だった。純烈の先輩格でもある。

「客席に降りて握手をしながら歌うことを、僕らは“ラウンド”と呼んでいるんですけど、そもそもラウンドを教えてくれたのが『新~』のリードボーカルの宍戸マサルさんなんです。宍戸さんとお仕事をご一緒したときに、“じゃあ純烈も一緒にラウンドしよう!”と言われて“ラウンドってなんや?”というところからスタートしました。それから、当たり前のように取り入れるようになったんです」

 そんな中で宍戸さんから受け継いだ独特の行動が、「靴を脱ぐ」ことだったという。

「健康センターのステージ上では当然靴を履いていますが、ステージから座敷に降りてラウンドするとき、必ず靴を脱ぐんですよ。衣装用の靴だから土足ではないんですけど、宍戸さんから“絶対に靴を脱いだほうがいい。脱がない人もいるけど、脱いだほうがいいから”と言われて、僕らも脱ぐようになったんです」

ーーそうすると、お客さんの反応が変わってきたり?

「それはわからないですけど、たぶん、マナーとか礼儀の類なんでしょうね。“履いているより脱いでいるほうが、お客さんへ失礼がないよ”という感覚が、僕らもスタンダードになりました。最初はすごく抵抗がありましたよ。歌いながら脱ぎ履きするのって格好悪くない? って。でも慣れたら気にならなくなりました」

小田井涼平 撮影/三浦龍司