サッカー選手を目指した少年時代「最終試験まで残れたときは、ワクワクしたし、ドキドキもしました」
Jリーグが開幕した当初のヴェルディ川崎には、レジェンドプレイヤーのキングカズこと三浦知良選手をはじめとするスタープレーヤーが多数在籍しており、チームは初代リーグ王者にも輝いた。つまり、日本有数の強豪チームであり、サッカーキッズの憧れの的だったのだ。
「Jリーグでプロになることに心から憧れていたので、そのセレクションで最終試験まで残れたときは、ワクワクしたし、ドキドキもしました。最後の3人まで絞られたんですが、そこで……落ちちゃったんですよ。その瞬間、それまで頑張ってきたこと全部、張りつめていた糸みたいなものが、“プツン”って音を立てて切れちゃったんですよね。
僕が通っていた中学のサッカー部はそれほど強くなかったし、ヴェルディのユースに受からなければ、サッカー選手として将来を描くのは難しいだろうなって。子どもながらに先が見えたというか。プロの道って、やっぱ厳しいですから」
ひたむきに進んできた道が突然、途切れてしまった、そう感じた少年は、さぞ落胆したことだろう。
「周りのみんなも、高校受験のタイミングだったので、部活も辞めていくんですよね。自分はこれからどうしようかなって迷っていたときに、遊びに来ていた友達と“ちょっとドラム、やってみようか”って話になって。父親はプロのスタジオミュージシャンだったから、家には電子ドラムセットみたいなものがあったんです。何の気なしに叩いてみたら、すごく楽しくて。あのときが、完全に僕の“THE CHANGE”でしたね」