「社会派映画ではなく“コメディ”だと捉えて演じた」

 映画『金髪』で彼が演じるのは、市川健太という中学教師。物語は、市川が担任を務めるクラスの生徒たちが、金髪にして登校してくるところからスタートする。理由は、“生まれつき髪の毛が茶色っぽい子が黒く染めるように指示されたのはおかしい”というものだ。

「というと、なんだか社会派映画のようですが、僕はこの作品を『ごく普通の中学の教室から始まった問題が、マスコミに取り上げられたりする中でどんどん大きくなっていくコメディ』だと捉えて、市川という男を演じていました」

 『金髪』の見どころのひとつに、市川という教師のかっこ悪さがある。

「市川は30代に突入したばかりなんですが、中年の入り口に立っていることを過剰に意識しているんですね。教師ではあるんだけど、校則を守ろうが破ろうがそんなのどっちでもいいと思っているし、『早く帰りたいなぁ』と思いながら授業をやってる(笑)。自分を取りつくろったり、正当化するために、意味のないことを延々と話したりする、いわゆる“イタいヤツ”なんです」

岩田剛典 撮影/北浦敦子 ヘアメイク/下川真矢 スタイリスト/渡辺康裕