劇作家、演出家、俳優、歌手として精力的に活動する渡辺えりさん。その原点には、男性との格差を感じる出来事が多くあったという。彼女のTHE CHANGEとはーー。【第1回/全2回】

渡辺えり 撮影・柳敏彦

 私もおばさんなんですが (笑) 、もう、世の中のおじさんに言いたいことがいっぱいあるんです。

 まず、電車で赤ん坊が泣いてるのに、「泣かせんな」とかって怒鳴っているおじさんをよく見かけるんです。これが最近、頭にきているのよ。そういうことを言わないでほしい。赤ん坊は泣くのが当たり前なんだから。自分だって赤ん坊の頃は泣いてたんだから。

 妊婦さんをもっと大切にしてほしい。見ていると妊婦さんに冷たいおじさんも本当に多いんですよ。席をゆずってあげたりしないの。今は少子化なんだし、本当に妊婦さんを大切にしてあげてほしい。妊婦さんはお金もかかるし、本当に大変なんですよ。

 他にも重い荷物を網棚に上げられなくて困っている人がいたら、手を貸してあげてほしい。私が新幹線で棚に荷物をあげていると、隣の車両から外国人が走ってきて手伝ってくれるのよ。外国の方は、タイの人でも韓国の人でも、困っている人に親切にするように教わってきてるんです。

 でも、日本は頑固なおじさんが多いんです。「そのままだと日本の未来は暗いよ」っておじさんたちに言いたい。

 戦争のときに、本当は日本は負けているのに、大本営はプライドが許さないから「勝ってる」って言い張ってたでしょ。そんなことをこの令和の時代に繰り返したら大変なことになる。それと同じじゃ絶対にだめなんですよ。建前だけで動くのもダメ。とにかく頑固なおじさんが減っていけば、戦争だって止めることができると私は思っているんです。