劇作家、演出家、俳優、歌手として精力的に活動する渡辺えりさん。その原点には、男性との格差を感じる出来事が多くあったという。彼女のTHE CHANGEとはーー。【第2回/全2回】
そんな私の原点は、やっぱり両親です。一昨年に父を、昨年に母を亡くしました。これまで私は両親に支えてもらっていたところもあったし、芸能の活動は両親に向けてアピールしてたところもあったんです。もともと親は演劇をやることは、大反対でした。ただ、やがて認めてくれて、途中からは応援してくれるようになったんです。
本当は、私は小劇場で社会批判の強い芝居をやり続けようと考えていましたが、山形の両親が喜んでくれるので商業演劇にも出演し続けてきました。そしてそこで諸先輩やスタッフにさまざまなことを教えていただきました。テレビドラマに出演すると山形の両親や友達がとても喜んでくれます。自分の主宰する劇団と両輪でやってこられたのは「娘はいないと思ってくれ」とまで言って上京してきた私が両親に演劇をやるのを認めてほしかったからでもありました。
NHKの朝の連続テレビ小説『おしん』 (1983〜84年) に出演したときも、顔を真っ黒に塗って誰だか分からない感じだったけど、喜んでもらいました。
あれを見た親戚が、お米や野菜をいっぱい送ってきたんですよ。「本当に生活に困ってるんだろ、かわいそうだ」って。役と混同されちゃってました (笑) 。
ただ、応援はしてくれるようになったものの、ヌードになることだけは絶対に反対でした。私は27歳のときに『ウィークエンド・シャッフル』 (82年) という映画に出演することになります。監督は中村幻児さん。ポルノを撮ってきた方でした。秋吉久美子さん、池波志乃さん、秋川リサさんと私が同級生の4人の役で出演していて、原作の小説では、みんなが脱ぐっていうね、面白い映画だったんですよ。