親が許さなかったから脱げなかった
でも私だけ脱いでないんですよ。親が許さなかったから脱げなかったんですね。その後も『夜に抱かれて』 (94年=日本テレビ) というドラマに出演しているんですが、このときも依頼があったのに、濡れ場はやりませんでした。主婦買春の話で、私は東山紀之くんとベッドシーンがあるはずだったんです。でも、私のほうから断ったんです。私は主婦で売春してる役なのにですよ。親が反対するから嫌だって泣いて断ったんです。脚本家からは「渡辺さん、プロとは言えない」って叱られましたが、それでも断っちゃった (笑) 。
今、親が亡くなったから、もう自由に脱げますが、もう私にそんな話は来ないです (笑) 。たぶん、もう介護される老人の役でしか、ヌードになる機会はないかもしれない。
とにかく、それぐらい親の縛りっていうのは大きかったんですね。でも逆に言えば、すごい両親にかわいがられてきたということでもあると思うんです。それはもう子供の頃からね。だから、そんなに愛してくれた両親が、もうどこにもいないと思うと、すごく孤独で、本当に一人ぼっちっていう感じに今はなってしまっています。
でも、そんな今だからこそ、私は人生をやり直さなくちゃいけないって思っているんです。人生のターニングポイントは今なんですよ。
最後に言いたいこと?
そうそう、12月に私の古希を祝うコンサートをアピールしたかったの。東京芸術劇場プレイハウスで2日間やります。池袋は第二の故郷。舞台芸術学院で演劇を学び、ロサ会館のおでん『やま』やさまざまなお店でアルバイトしました。その池袋で、お礼の気持ちでやりたかったんです。
音楽的には本当に今までの集大成のコンサート。今まで『劇団3○○』『オフィス3○○』の作品に客演したことのある方たちをはじめ、本当に多彩なゲストに出てもらいます。
私はこだわるときは、徹底的にこだわるんです。こだわっているんで、実は満員になっても赤字の計算です。でも体の利くうちに皆さんに笑顔を届けたい。とにかく、ぜひ足を運んでくださいね。
渡辺えり(わたなべえり)
1955年生まれ。山形県出身。劇作家、演出家、俳優、歌手。舞台芸術学院卒。1978年『劇団3〇〇(さんじゅうまる)』を結成。主宰・劇作家・演出家・女優の4役を務めた。『ゲゲゲのげ―逢魔が時に揺れるブランコ』で第27回岸田國士戯曲賞を受賞。映画では『Shall We ダンス?』で 報知映画賞助演女優賞、日本アカデミー賞 優秀助演女優賞を受賞、また『おしん』『あまちゃん』(ともにNHK)など多くのテレビドラマにも出演している。
『70祭 ERI WATANABECONCERT~ここまでやるの、なんでだろう?~』
渡辺えりの芸能生活の集大成的コンサート。あまりに豪華なゲストが集合するこのイベント、詳しくは『オフィス3◯◯』HPをチェック!
会場:東京芸術劇場プレイハウス
日時:12月20日(土)17:00開演、12月21日(日)14:00開演
公式サイト: https://office300.co.jp/70sai.html