取捨選択の連続だなと思います

「人を育てるって本当に難しいですよね。よく母が“子育ては取捨選択の連続”と言うんですけど、子育てに限らず、現場で若い方々と接する時にも、どんな言葉を選ぶか、どんなアドバイスをするか、本当に取捨選択の連続だなと思います。取捨選択をするということは、言葉にしても方法にしても、選んだ人に責任は生まれるので、大人になるということは責任が増えるということなんだなと実感しています」

 生きることの意義、ということに関わってくるように思える。それは今回出演した映画『盤上の向日葵』でも見られるテーマに繋がってくる。

「どんな人も一度は“何のために生まれてきたのか”、という自問自答をしたことがあると思いますが、この作品に登場するほとんどの人は、何のために生まれてきたのか、ある程度分かっているんです。しかもそれが目の前にある。でも、どうすることも出来ないんです。
 掴もうと思うと何かに流されたり邪魔されたりして、生きる上での自由を掴み切ることが出来ない。その『何か』を一言で言うなら、『宿命』なのかなと思います。でも、宿命の重さや暗さがあるからこそ、自由に生きることの大切さが浮き彫りになる──それがこの『盤上の向日葵』には込められていると思います」

Ⓒ2025「盤上の向日葵」製作委員会

 この映画で人の『宿命』について考えさせられたという土屋さんは、最近になって初めて体験したことがあった。それは、“占い”である。

「占いに行ったというよりは、占いをしている方にあるお店で出会ったんですけど、お話の内容も興味深かったですし、その方の語り口調とか雰囲気もあたたかくて素敵でした。
 占いをする方にもいろいろな方がいらっしゃると思うんですけど、言葉の選び方って大事だろうなと思うんです。現代は難しい時代なので、カウンセリングの要素もあるんじゃないかな? って。でも、その時に伝えていただいた結果は、誰にも言わないようにしているんです。自分の未来の中で、どう変化したかを感じたいと思います」

 普段の日常生活においては、母親から「家の中を掃除したら何か変わるかもよ」と言われ実践した。